« 2008年1月 | トップページ | 2008年3月 »

2008年2月25日 (月)

蒲生邸事件

蒲生邸事件 (カッパ・ノベルス) 内容(「BOOK」データベースより)
平河町一番ホテルに宿泊していた受験生・尾崎孝史は、二月二十六日未明、ホテル火災に見舞われた。危うく焼死するところを、謎の男に助けられた孝史は、その男とともに昭和十一年二月二十六日にタイムスリップ―雪の降りしきる帝都では、今まさに二・二六事件が起きようとしていた。その日、蒲生邸では蒲生陸軍大将が自決。三宅坂一帯は叛乱軍に占領され…。この叛乱の結末、これからの昭和の戦争への悲惨な歴史を知る孝史たちにできることはないのか。“運命の四日間”に交錯する人々の命運!当代随一のストーリーテラーが時を超えて描く、ミステリー巨編。

■■■
宮部さん久しぶりです。ワクワクしながら読みました。まだ未読の作品が残っている事を純粋に嬉しがれる作者は偉大です(笑)
古本屋で300円で置いてあったので(しかもミステリ好きには憧れの出版社カッパノベル!)即購入しました。
クロスファイアや鳩笛荘等、人間の中で特殊な力を持ってしまった人の生き方、その人に絡んだ人の生き方、巻き込まれてしまった人の生き方etc…、ファンタジーなのにどこか「ありそう…」と思わせる文章力に圧巻です。宮部氏の作品には長文にも関わらず一気に読んでしまえる面白さが確実にあります。

ふきと主人公は現世で是非とも会って欲しかった。けれど、話としてはあれで落ちているし良いんだと思います。泣けるが…。
黒井さんのストーリーが別口でもしあったなら是非それも読んでみたい。また違った角度から蒲生邸の人々と2・26事件を覗いてみたいものです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

被害者は誰?

被害者は誰? (講談社文庫) 出版社 / 著者からの内容紹介
豪邸の庭に埋められていた白骨死体は誰なのか? 犯人が黙秘を貫く中、警察は押収した手記をもとに、被害者の特定を試みるが……。警視庁の桂島刑事から相談される、迷宮入り寸前の難事件の数々。それを解き明かすのは、頭脳も美貌も態度も規格外のミステリー作家・吉祥院慶彦(きっしょういんよしひこ)。痛快無比! 本格推理の傑作。

■■■
ワトソン役とホームズ役の関係が蒲田行進曲のヤスと銀ちゃんに似てるなあ…と。

何の理由も無く“天才だから尊敬している”と言われてすんなり納得できるのはもう少しライトな方向性の小説なのでは。ミステリでこれをやられてしまうと探偵役に実績が無いので安心感がないまま話が進み推理が余計にうそ臭くなる気がします。
短編が4つ入っていましたがトリックが少々単純すぎたり、動機に説得力が薄かったりとストーリー展開の弱さが目立ちます。
別にミステリは淫隠滅滅とした雰囲気がなくちゃ困る!とは思っていませんが、もう少し締める部分は締めてほしい小説でした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

チルドレン

チルドレン (講談社文庫 (い111-1)) 出版社/著者からの内容紹介
こういう奇跡もあるんじゃないか?
まっとうさの「力」は、まだ有効かもしれない。信じること、優しいこと、怒ること。それが報いられた瞬間の輝き。ばかばかしくて恰好よい、ファニーな「五つの奇跡」の物語。
吉川英治文学新人賞作家、会心の受賞第1作!
短編集のふりをした長編小説です。帯のどこかに“短編集”とあっても信じないでください。
伊坂幸太郎


■■■
友達同士の仲。それもとりたて微妙で気をつかって、でも馬鹿を言えて気兼ねなくて気安くて、そんな間柄に掛け合う言葉の表現や、動物が居る空間を伝えるのが上手い。
短編集かと思いきや、最初の短編の登場人物の「陣内」を中心にした一つの長編でした。巻末の解説にあった著者の言葉を借りれば「短編集のふりをした長編小説」らしいです。
一見ジョークが効き過ぎていて言い回しがキツイ言葉も、ストーリーの中に溶け込むのが早く、決してチクリとさされることはありません。
安心して柔らかく本が読める事は今のモチベーションにピッタリ合っていた事も相まって、最後まで面白く読めました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

蒲田行進曲

51rqjjbxmel__ss500__2

内容(「BOOK」データベースより)
映画『新撰組』で、はじめて主役を演ることになった銀四郎。その恋人で、かつてのスター女優小夏。そして銀四郎を慕う大部屋のヤス。―銀四郎は、あたらしい「女学生のような」女の子に熱を上げ、妊娠した小夏をヤスに押しつけようとし、小夏は銀四郎を諦めてヤスを愛しようとつとめ、ヤスは「大好きな銀ちゃん」の言うままに、お腹の赤ん坊ごと小夏を引き受け、小夏との家庭を築いていこうとする。サディスティックなほどにマゾヒスティックに、傷つき、傷つけることでしか成立しえない「酷薄な愛」を描いたつかこうへいの代表作。第86回直木賞受賞。風間杜夫と山崎銀之丞の対談「銀ちゃんのこと」、深作欣二監督とつかこうへいの対談「若き表現者へ―映画のからだ、演劇のことば」を収録。 

■■■
今更どうした!?と思われるかもしれません。自分でも思いました(笑)
ただ映画や舞台で見たことはありましたが、この作品の小説をきちんと読んだ事が無かったので、過去に舞台をやっていた手前興味が湧いて……という言い訳をたてまえに、本当はラーメンズの“蒲田の行進曲”を見て、あーずいぶん前に映画見たっきりだったなぁ。この期にちゃんと読んでみるかな、と思ったのが切っ掛けです(笑)。

女性の立場がまだ吹けば飛ぶような時代の名残、男の天下だった業界の中でしたたかに強く愛に生きる小夏が印象的でした。
そんな時代の色が盛りだくさんで、今読むと色々と面白い描写が沢山あります。
ヤスが醜男として書かれているけど、銀ちゃんはどれだけ格好よくてスター性があるんだろう。
終わりに向かってどんどんヤスに銀ちゃんのカラーが写っていくのが面白くもあり、小夏の心情を考えると怖くもありました。
最後は「ここで終わりか!?」と思うような所で終わってる所なんかも、映画の「カット」の声が入り→クランクアップの打ち上げ風景を演じつつ→テロップロールの流れと完璧に一致していて思わずお見事!と唸りたくなります。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2008年2月21日 (木)

白い兎が逃げる

白い兎が逃げる 内容(「BOOK」データベースより)
「君を好きになった。君も僕に興味を持って欲しい。それが無理なら、離れたところから君を見守っているだけでもいい」―。ストーカー行為に悩む劇団「ワープシアター」の看板女優・清水玲奈。彼女を変質者から引き離すプランは、成功した筈だった。ところが、ストーカーの死体が発見され、事件は思わぬ展開に!臨床犯罪学者・火村英生の論理的思考が冴え渡る、4編の傑作本格推理。


■■■
正直、出た当初に第一版で購入していましたが、このシリーズは相当自分の体制が整っている時じゃないと読みたくなかったのでずっと寝かせていました。ただだいぶ寝すぎて次の長編が出てしまいましたが(笑)。そしてようやく体制が整ったのでこの度読破。
今回の話はレビュー書いてる方々が口々に言っていた火村氏の名言(迷言?)が盛りだくさんで終始ニヤリとさせてもらいました。
にしても「おぼこい」って…。相変わらず有栖川氏の台詞は言い回しや言葉が微妙に昭和です。本格ミステリだからこそなのでしょうか?(笑)
P266の「学習心理学における~」やP269「おい、全部食べちまったのかよ」あたりは二人のコンビネーションの絶妙具合と、踏み込む領域がチラリと見えて面白かったです。
アリスの恋愛心情も久しぶりに出ましたね。P299の「俺はおまえが~」の件は言わずもがな。
ストーリーの最後の盛り上げ方が秀逸で、久しぶりにミステリの謎解き段階でゾクゾクしました。

| | コメント (2) | トラックバック (1)

« 2008年1月 | トップページ | 2008年3月 »