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2014年11月12日 (水)

インシテミル

Index 内容(「BOOK」データベースより)

「ある人文科学的実験の被験者」になるだけで時給十一万二千円がもらえるという破格の仕事に応募した十二人の男女。とある施設に閉じ込められた彼らは、実 験の内容を知り驚愕する。それはより多くの報酬を巡って参加者同士が殺し合う犯人当てゲームだった―。いま注目の俊英が放つ新感覚ミステリー登場。

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結論から先に。
面白かったか面白くなかったかの二択で言ったら、「面白かった」に分類される作品です。
導入の掴みも工夫されていて、読み始めから引き込まれました。
ただ、こういった設定やルールが細かく決まっている小説において、読者がもっとも知りたいであろう部分のストーリー背景などは最後まで読んでもひとつも(少なくとも僕が納得する形ではひとつも)解明されません。

プロフにも書いていますが、僕が元々小説や映画などの物語はストーリーの構成などよりキャラクターのリアリティを重視して読む(見る)タイプなので、総体的に俯瞰で物事を見るタイプの人からすると「どこ見てるんだ、話を読め」って思われるとは思うんですが、いかんせん森よりも木を一本一本観察していきたいタイプなので(笑)、拘る部分が違う方はどうぞスルー下さい(笑)

さて感想。
キャラクター設定は細かくあるようですが、そこに至る経緯や背景が全く描かれていない為、彼らの行動原理が説得力に欠けます。
また、ミステリで言う読者へのひっかけとは別に、さしたる理由もなく登場人物が途中まで読者に見せていた面と物語佳境で見せる面が大きく乖離している(人が数名いる)為、小説全体に対する信頼の置きどころも揺らぎます。
この乖離しているキャラクターの中に主役が含まれているので、視点だった体からいきなり宙に放り出されたようで飲み込むのに少し時間がかかりました。(それこそがこの小説の狙いなのかもしれませんが)
…だとすると放り出された際に出てきた新情報として、主人公と登場人物Aの繋がり方にそれ程の重大性は無く、なぜこの繋がりをギリギリ最後まで読者に隠す必要があったのかが不思議です。
構成がメタミステリなのは解るんですが、その設定自体が最後の大どんでん返し等の伏線でもない為、読者としては立ち位置迷子になりました。

途中まではとてつもなく引き込まれるストーリーだっただけに、色々と雑に処理されていく過程やラストスパート直前からポロポロと出てくる疑問点が心残りな小説でした。
ただ、全体的に「この登場人物は腹が立つ」というのはあっても「この小説は腹が立つ」にはならなかったので、ストーリーへの引き込み勝ちだと思います。

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