宮部みゆき

2015年5月 6日 (水)

チヨ子

Index内容(「BOOK」データベースより)

 五年前に使われたきりであちこち古びてしまったピンクのウサギの着ぐるみ。大学生の「わたし」がアルバイトでそれをかぶって中から外を覗くと、周囲の人は ぬいぐるみやロボットに変わり―(「チヨ子」)。表題作を含め、超常現象を題材にした珠玉のホラー&ファンタジー五編を収録。個人短編集に未収録 の傑作ばかりを選りすぐり、いきなり文庫化した贅沢な一冊。

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短編集だし、まぁこんなもんだよね。
多分宮部さんに対しての信頼感からハードルを上げすぎてしまった感はありました。
ミステリ好きなので「いしまくら」は結構好きでした。冒頭の事件説明がなかなか長くてしっかり書かれているので、短編にせずもっと大きな話しに巻き込んで中編ミステリとかにしても楽しめる題材だと思います。
犯人が見つかる切欠の出来事が、ちょっと簡単すぎたのが勿体無い。
切ない系ホラーとしては「オモチャ」も結構好きでした。
やり場の無い寂しさをヒシヒシと感じるお話しです。
叔父さんの本意はどこにあったんだろう。彼の余生は幸せなものだったんだろうか。

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2008年2月25日 (月)

蒲生邸事件

蒲生邸事件 (カッパ・ノベルス) 内容(「BOOK」データベースより)
平河町一番ホテルに宿泊していた受験生・尾崎孝史は、二月二十六日未明、ホテル火災に見舞われた。危うく焼死するところを、謎の男に助けられた孝史は、その男とともに昭和十一年二月二十六日にタイムスリップ―雪の降りしきる帝都では、今まさに二・二六事件が起きようとしていた。その日、蒲生邸では蒲生陸軍大将が自決。三宅坂一帯は叛乱軍に占領され…。この叛乱の結末、これからの昭和の戦争への悲惨な歴史を知る孝史たちにできることはないのか。“運命の四日間”に交錯する人々の命運!当代随一のストーリーテラーが時を超えて描く、ミステリー巨編。

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宮部さん久しぶりです。ワクワクしながら読みました。まだ未読の作品が残っている事を純粋に嬉しがれる作者は偉大です(笑)
古本屋で300円で置いてあったので(しかもミステリ好きには憧れの出版社カッパノベル!)即購入しました。
クロスファイアや鳩笛荘等、人間の中で特殊な力を持ってしまった人の生き方、その人に絡んだ人の生き方、巻き込まれてしまった人の生き方etc…、ファンタジーなのにどこか「ありそう…」と思わせる文章力に圧巻です。宮部氏の作品には長文にも関わらず一気に読んでしまえる面白さが確実にあります。

ふきと主人公は現世で是非とも会って欲しかった。けれど、話としてはあれで落ちているし良いんだと思います。泣けるが…。
黒井さんのストーリーが別口でもしあったなら是非それも読んでみたい。また違った角度から蒲生邸の人々と2・26事件を覗いてみたいものです。

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2007年9月 4日 (火)

心とろかすような―マサの事件簿

心とろかすような―マサの事件簿 (創元推理文庫) 出版社/著者からの内容紹介
著者のデビュー長編『パーフェクト・ブルー』で登場したジャーマン・シェパードの老犬マサと蓮見探偵事務所の面々、それに好青年、諸岡進也……お馴染みの人たちが遭遇する五つの事件。本書はそこに登場する様々な人間たちの実像に真っ向から立ち向かおうとする彼らの活躍が、マサの目を通して語られる、ほろ苦くも心優しい宮部ワールド。

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パーフェクト・ブルーの時はそこまで感じなかったのですが、心とろかすようなのマサの可愛さっぷりはもう凄いを通り越して酷いです(笑)
犬好き(こと自分の事ですが)が読んだらジャーマンシェパード飼いたくなります。
あと巻末に宮部氏自身が登場する短編が入っています。宮部さんの作品を数読みましたが、これはどこにも無かった形だったので目新しくてとても面白かったです。
ただ、「運転うまいね。女性にしてはたいしたもんだ」等、宮部作品にたまに見られるこの手の発言はやっぱりちょっと気になります。
作者が女性だけにわざわざこんな事キャラクターに言わせなくてもいいのになぁと思わずにはいられません。
著者の幼少期やOL時代に相当根深く残る事件でもあったんだろうか・・・

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2007年8月 1日 (水)

鳩笛草

鳩笛草―燔祭・朽ちてゆくまで
内容(「BOOK」データベースより)
他人の心を読むことのできる女性刑事・本田貴子は、その能力ゆえにさまざまな試練に直面し、刑事としての自分の資質を疑ってゆく…。(「鳩笛草」)高校生の妹を殺害された兄に代わって報復の協力を申し出た青木淳子。彼女は、人や物を念じただけで発火させてしまう能力を持っていた…!(「燔祭」)超能力を持つ3人の女性をめぐる3つの物語。

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クロスファイアの登場人物が出てくるクロスファイア以前の話や、それに准ずる超能力を持った女性達の短編集です。
相変わらず私事全開で書きますが、最初クロスファイアを貸してくれたのが昔居た職場の係長だったんですよ。その係長が「いやー…本当はこれの前の話があってね、そっちから読んでもらいたいんだよ!それを読んだ後にクロスファイアを読んだら本当に泣けるから。でも僕この間その前の本を売っちゃったんだよねぇ。ごめんね、いやー惜しい!」としきりに言うのでどんな内容なんだろうと思いつつも僕はクロスファイアから読んだんですが、それでも充分泣けました。
その後なんだかんだとこの本と縁が無くて、ここ最近ようやく宮部みゆき氏の現代小説(文庫版)をコンプする最後の作品として読むことになりました。
クロスファイアの記憶もいい加減ちょっと薄れてきている頃だったんで、係長に申し訳ないなぁと思いながらも(笑)。
読んでみると確かにこれを先に読んでクロスファイアに行ったら背景がものすごく見えてさぞかし泣きに拍車がかかったろうにと思いました。
この話がマイノリティに対するメタファーかどうかは受け取り側の感覚でしょうが、超能力がある以外は努めて超現実的な描写が余計にストーリーにリアリティを生むんでしょうね。

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2007年6月22日 (金)

魔術はささやく

魔術はささやく 内容(「BOOK」データベースより)
それぞれは社会面のありふれた記事だった。一人めはマンションの屋上から飛び降りた。二人めは地下鉄に飛び込んだ。そして三人めはタクシーの前に。何人たりとも相互の関連など想像し得べくもなく仕組まれた三つの死。さらに魔の手は四人めに伸びていた…。だが、逮捕されたタクシー運転手の甥、守は知らず知らず事件の真相に迫っていたのだった。日本推理サスペンス大賞受賞作。

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実は随分前に一度読んで、今回二度目の読破だったんですが、色々忘れていて曖昧だった部分や流して読んでいた部分を補えて面白かったです。
後の模倣犯に出てくる塚田真一少年はこの話の主役日下守をモチーフに作られたのだろうなと思いました。
めずらしく警察が全く出てこないミステリです。
ストーリーの骨組みが随分リアルなのに対してオチはサブリミナルと催眠術という凡そ一般的でないものを使っているのも珍しくて楽しく読めました。
この辺の大作で力をつけていき模倣犯へのベクトルが定まったのだなと考えると、この本や火車、理由などの印象がまた少し変わった気がします。

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淋しい狩人

淋しい狩人 内容(「BOOK」データベースより)
東京下町、荒川土手下にある小さな共同ビルの一階に店を構える田辺書店。店主のイワさんと孫の稔で切り盛りするごくありふれた古書店だ。しかし、この本屋を舞台に様々な事件が繰り広げられる。平凡なOLが電車の網棚から手にした本に挾まれていた名刺。父親の遺品の中から出てきた数百冊の同じ本。本をきっかけに起こる謎をイワさんと稔が解いていく。ブッキッシュな連作短編集。

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ミステリ小説の主人公がおじいちゃんとその孫という取り合わせ自体が非常にめずらしく、心温まるほのぼのストーリーの枠も充分に満たしている小説でした。
最後の方にいけば行くほど二人の心の距離が開いてしまい、最後にまた自然と戻ってくる(戻ってくる予感を残して終わる?)書き方は『今夜は眠れない』『夢にも思わない』この両シリーズの雅男と島崎を彷彿させられます。
おじいちゃんだからこその距離感で事件と対峙していくので、解かなければいけない謎は解き、解かなくていい謎は心の中にしまっておくスタンスがとても新鮮でした。
できれば続きを書いてほしい。その後が気になる一冊です。

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2007年6月21日 (木)

我らが隣人の犯罪

我らが隣人の犯罪 内容(「BOOK」データベースより)
僕は三田村誠。中学1年。父と母そして妹の智子の4人家族だ。僕たちは念願のタウンハウスに引越したのだが、隣家の女性が室内で飼っているスピッツ・ミリーの鳴き声に終日悩まされることになった。僕と智子は、家によく遊びに来る毅彦おじさんと組み、ミリーを“誘拐”したのだが…。表題作以下5篇収録。

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長編も短編も上手い宮部さん。相変わらず面白いです。
短編が5個も入っているとたいがいネガティブな話が1個ぐらいはあるものですが、この本は全編通してコミカルに読めました。
人工授精で産まれた少年が主人公の「この子誰の子」にしても、物悲しさや悲壮感は無く、根底に見えるのは希望です。
こういう話をサラッと重くすることなく書けてしまうのがこの作者の凄い所。

宮部作品は歴史物を除いたらそろそろ読みつくしてきた感があり、未読本の列に終わりが見えているのがなんだか寂しさすら感じます。

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2007年6月 1日 (金)

長い長い殺人

長い長い殺人 内容(「BOOK」データベースより)
金は天下のまわりもの。財布の中で現金は、きれいな金も汚ない金も、みな同じ顔をして収まっている。しかし、財布の気持ちになれば、話は別だ。持ち主の懐ろに入っている財布は、持ち主のすることなすことすべて知っているし、その中身の素性もお見通しである。刑事の財布、強請屋の財布、少年の財布、探偵の財布、目撃者の財布、死者の財布、証人の財布、犯人の財布等等―十個の財布が物語る持ち主の行動、現金の動きが、意表をついた重大事件をあぶりだす。

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財布という無機物を視点にしてここまで面白い物語が書けるのか!と脱帽しました。
最初10編あるのでバラバラのオムニバスかなと思ったんですが、一個の長い長い殺人(今考えたらタイトルを見た時点で気付くべきだった)を財布たちの目線で追った長編小説でした。
一組の男女が関わった殺人事件、死体の数は4つ。主たる登場人物の数は10名。財布の数もぴったり10個。
登場人物たち本人がこの物語を語っていないぶん財布たちがすこし自由の利かない第三者目線で物語を進めていくのですが、犯人や刑事などの心の中が全く見えないわその癖おこなった行動は逐一描かれているわで不気味さと後からくる納得が読んでいて凄く心地良かったです。
全体的に砕けていて単元ごとにサクッと読めるので、ミステリをあまり読んだ事が無い人にも楽しめる一冊だと思います。

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2007年5月18日 (金)

理由

理由 内容(「BOOK」データベースより)
事件はなぜ起こったか。殺されたのは「誰」で、いったい「誰」が殺人者であったのか―。東京荒川区の超高層マンションで凄惨な殺人事件が起きた。室内には中年男女と老女の惨殺体。そして、ベランダから転落した若い男。ところが、四人の死者は、そこに住んでいるはずの家族ではなかった…。ドキュメンタリー的手法で現代社会ならではの悲劇を浮き彫りにする、直木賞受賞作。

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文章の書き方が普段の宮部さんと違い、事件が全部片付いた後にルポルタージュ形式で書かれているのが新鮮でした。
最初はそれに気付かず読んでいて、やけにドキュメンタリーみたいな構成だなぁと戸惑っていたのですが、慣れるとすんなりと面白く読めると思います。

相変わらず宮部作品は読み手をストーリーに惹きつける力は抜群で、物語の鍵を握る人物の一人である綾子が登場する辺りからは色々な箇所に喜怒哀楽しながら怒涛の勢いで読み終わってしまいました。

ただ、(こういうキャラクターは宮部さんの本にはたびたび出てくるのですが)現代日本のとりわけ若い人の持つ感性からはあまり想像がつき難い、昔気質な…良くも悪くも一途だったり頑固だったり夢見がちだったりするキャラクターが今回はことさら多く出てきたので、そこに同調したり思いを馳せてみる事が難しかった事。
もう一つ、これは完全に個人的な感想なのですが、アニメやゲーム・漫画や小説が大好きで育ってきた自分としては、登場人物の一人の考え方で「現実の人間を殺す事は大変なことだが、製作者達がつけたもっともらしい経歴を持つだけのアニメ絵のキャラクターを同じように扱う事は“平気”なこと。スイッチ一つ押せば消えるペラペラな存在」と評した事にはどうにも切ない思いがこみ上げてきました。

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2007年5月 9日 (水)

人質カノン

人質カノン 内容(「BOOK」データベースより)
「動くな」。終電帰りに寄ったコンビニで遭遇したピストル強盗は、尻ポケットから赤ちゃんの玩具、ガラガラを落として去った。事件の背後に都会人の孤独な人間模様を浮かび上がらせた表題作、タクシーの女性ドライバーが遠大な殺人計画を語る「十年計画」など、街の片隅、日常に潜むよりすぐりのミステリー七篇を収録。

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相変わらず短編も長編ももれなく全部読みやすくて面白い宮部さんです。この人の量産かつクオリティの高さはどこから出てくるんだろう…
これ読んでいる時に「あれ、なんか見たことある話だなぁ…なんか読んだ事あるなぁ…うわオチまで全部記憶と一緒だ!おっかしいなぁ~…」と思ってたんですが、よくよく考えてみると一昨年東京から帰って来る時に羽田の空港で時間を持て余して全部立ち読みしていた本でした。
確かに薄い本とはいえ一冊立ち読みし終わるってどんだけ時間を持て余してたんだろう。
内容としては「十年計画」が特に好きでした。
このタクシードライバーのおばちゃんについてはハマリ役だと思える役者さんが居るんで機会があったら声かけてみたいと…ひそかに思ってます。

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