恩田陸

2008年3月18日 (火)

禁じられた楽園

禁じられた楽園 内容(「BOOK」データベースより)
大学生平口捷は、同級生で世界的な天才美術家烏山響一から招待を受けた。聖地・熊野の大自然の中に作られた巨大な“野外美術館”へと―。現代の語り部が贈る、めくるめく幻想ホラー超大作。

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ちょっと予定調和が多い気はしました。ホラージャンルでも小説ならもう少し理屈で怖がらせてくれた方がより怖かった気がします。
文章の面白さや、次は何が来るだろうというワクワク感は最後まで損なわれることなく読めました。
ただ複線を貼りすぎて、蓋をあけてみたら「あれ?これだけ?」と思うような物もしばしば。
恩田さんのホラーは小野さんのような圧倒的な恐怖というモチーフではないのかもしれない。

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劫尽童女

劫尽童女 (光文社文庫) 内容(「BOOK」データベースより)
父・伊勢崎博士の手で容易ならぬ超能力を与えられた少女・遥。彼ら親子は、属していた秘密組織「ZOO」から逃亡していた。そして、七年を経て、組織の追っ手により、再び戦いの中へ身を投じることに!激闘で父を失った遥は、やはり特殊能力を持つ犬・アレキサンダーと孤児院に身を潜めるが―。殺戮、数奇な運命、成長する少女。彼女の行く手に待つのは何か。


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いろいろと謎は残る終わり方だったのが少々残念ではあるけども、ストーリー展開の上手さとスピード感はさすが恩田さんでした。
田中芳樹さんにも思いましたが、恩田さんは人と違う圧倒的な力を持ってしまった主人公がその力を使って周囲を鎮めていく(その先に待っているのは不幸な事も多いですが)みたいなストーリーが多いですね。
犬の活躍がなかなか微妙で…多いような、かといって重要な局面にはいないような…。「犬大好きにはたまらない一冊です」的な解説が書いてありましたが、犬大好きだからこそ、もう少しウェイトを置いて欲しかった気もします。

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2007年8月 4日 (土)

Q&A

Q&A 出版社/著者からの内容紹介
これからあなたに幾つかの質問をします。
ここで話したことが外に出ることはありません――。

2002年2月11日(祝)午後2時過ぎ、都内郊外の大型商業施設において重大死傷事故発生。死者69名、負傷者116名。未だ事故原因を特定できず――。次々に招喚される大量の被害者、目撃者。しかし食い違う証言。店内のビデオに写っていたものは? 
立ちこめた謎の臭いは? ぬいぐるみを引きながら歩いてた少女の姿は? はたして、これは事件なのか、それとも単なる事故か? 謎が謎を呼ぶ恩田陸ワールドの真骨頂!

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表紙が怖い!本気で表紙が怖い!!
↑の表紙じゃわかりませんが、僕が読んだ版はこっちなんですよ。

51qk540623l__aa240__4 ←これケッソクヒデキ氏(http://www.kessoku.net/index.html)のイラストなんですが、内容が内容だけに夜中に読んでると開いたページの右手の…表紙が内側に織り込まれてる部分あるじゃないですか、そこにも表紙から続いてイラストが載ってるんですがその部分の人の顔がじーっとこっちを見ていて恐怖!!
真ん中ぐらいまでは我慢して読んでたんだけど、あまりに気持ちが悪くなってきてそこから手持ちの紙でブックカバー作って覆ってから読みました。

内容は恩田さんの比較的新しい話だけあって、登場人物の息子二人がテニプリの影響を受けてテニス部に入ってたりします。(恩田さん若いなーと思った)
あとQ&A形式なのは全体の半分ぐらいで後半はもう普通に会話です。
会話形式の話は井上夢人氏の「もつれっぱなし」以降久しぶりでしたが、恩田さんだとちょっとスピリチュアル寄りの書き方をするので読んでいて怖い部分が沢山ありました。幽霊の怖さよりも人の怖さ。事件の怖さ。事実のえげつなさ。光の帝国にもそういう描写がありましたが、恩田さんは残酷な話を誇張せずにわかりやすく残酷に書くのが上手いと思います。
これも芝居にしたら面白いだろうなー。キャスト二人しかいらないし。

あ、因みに結局事件の原因は判明していません。
事件の真実を知る話じゃなくて、それに巻き込まれた人々や自分から巻き込まれに行った人々の反応を楽しむ小説です。

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2007年5月 9日 (水)

月の裏側

月の裏側 内容(「BOOK」データベースより)
九州の水郷都市・箭納倉。ここで三件の失踪事件が相次いだ。消えたのはいずれも掘割に面した日本家屋に住む老女だったが、不思議なことに、じきにひょっこり戻ってきたのだ、記憶を喪失したまま。まさか宇宙人による誘拐か、新興宗教による洗脳か、それとも?事件に興味を持った元大学教授・協一郎らは“人間もどき”の存在に気づく…。

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いつも「個」が「多」にいつの間にやら支配されていく話はそれが村や町単位であればあるほどゾクゾクしながら読みます(笑)
ただこれは屍鬼みたいなのを想像しながら読んでいただけにちょっとあれ?と思うこともしばしば。
なるほど、屍鬼はマイノリティと戦い排除する方向に動いたけれどこの本の住人達は取り込まれて同化する方に進んだのか。ちょっと意外な結果でした。
読後「じゃあ一回図書館で敵が撤退した訳は?」とか「多聞は結局どっちだったんだろう」とか「街の人が消えた最初の数日間も“すでに盗まれた人々”は本当に息を潜めて暮らしていたんだろうか」とか色々不思議な気持ちが残るのであまりスッキリは出来なかったり…
あと「男はこうで女はこうだ」的なジェンダー観念が何度も書かれているのも少し目に付きました。

恩田さんの話はとっつき易いんだけど光の帝国―常野物語 以来目に見えた大当たりは無いなあ。

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