石田衣良

2008年3月18日 (火)

東京DOLL

東京DOLL (講談社文庫) マスター・オブ・ザ・ゲーム=MGと呼ばれる天才ゲームクリエイター。背中に濃紺の翼をもつ少女ヨリが彼の孤独を変えてゆく―。青く透明なビルと虚ろさが混在する東京湾岸―石田衣良がハードにシャープに描くパーフェクトな人形に恋をした男の物語。

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いろいろなところで☆5中、2~3を軒並み獲得している石田さん初の問題作。皆様の意見は間違っていないと実感致しました。
どうしたんだろう、石田さん。TVに出すぎて一般の感覚と業界の感覚の区別がつかなくなったんだろうか。
とにかくブランド物の描写が多い。女の子のエロさが安っぽい。常に街はピカピカしている。世の中には面白いことが溢れているはずなのになぜか空しさや焦燥感がつきまとう主人公。3拍子どころか4拍子そろってアイタタタ…な感想です。
ともかく、一時期流行った、お金はある。望めば女も手に入る。やろうと思えばたいがいの自由は利く。けれど気持ちが乗らないからやらない。ないしは、今はまだその時が来ていないから傍観するという『その気になればなんでもできる人生の余裕を持った主人公』はそろそろ潮時ではないかと思います。
一番伝えたかった(であろうと思われる)恋愛の部分も、常に最後まで曖昧で、なんだか頻繁に描かれるSEX描写だけが最後まで印象に残りました。
石田さんは男女のエロを含む濃厚な小説を書くよりも、ティーンズの甘じょっぱい(笑)青春を書いてる話の方が好みでした。

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2008年1月22日 (火)

池袋ウエストゲートパークⅤ 反自殺クラブ

反自殺クラブ―池袋ウエストゲートパーク5 (文春文庫 い 47-9) 〔ストーリー紹介〕
池袋には「Gボーイズ」って言うストリートギャング団がある。イカれたガキどもの集団だ。
トップのキングの名は、タカシ。奴に話を取り次ぎたいのなら、俺のところにくればいい。
依頼によっちゃぁ聞いてくれるかもしれないよ。

風俗嬢の天才スカウトマン・タイチ。彼の知り合いが風俗スカウトサークルの罠にはまり、
タイチはマコトにその救出を依頼する―――「スカウトマンズ・ブルース」

かつて爆発的にブレイクした、大スター神宮寺貴信。ある日マコトの果物屋を訪れた、
その伝説の男は、「Gボーイズ」への取り次ぎを依頼した―――「伝説の星」

労働環境が恐ろしく悪い中国の玩具工場。ある時一人の女性がそこで亡くなり、
復讐を誓ったその妹は、親会社のある日本へと渡った―――「死に至る玩具」

ネット内に散らばる自殺系サイトを飛び回り、次々と集団自殺をプロデュースしていく、
謎の人物「スパイダー」が池袋に現れた。自殺遺児たちが結成した「反自殺クラブ」は
マコトとタッグを組んでスパイダー捜索を開始した―――「反自殺クラブ」

「池袋ウエストゲートパーク」が合言葉!混沌の町池袋を描く、IWGPシリーズⅤ。

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有栖川有栖、伊坂幸太郎と並んで新作が出たら(図書館ではなく)新書で必ず買う作家、石田衣良。
ただだいーぶメディア出演が多くなって、それと共に買い辛くなってきました。
物凄くトレンディで今ある風景を新鮮なうちにカットしてザクザクっと書けてしまう作家の本を買うのって、なんか物凄く気恥ずかしくないですか?
自分はこんなに今をときめく作家を…皆が注目している流行の作家のチェックを怠らないんだぞ、っていう恥ずかしいアピールみたいな気が(勝手に)して、だんだん石田さんの本が買い辛くなっています…。ものっ凄い被害妄想なのは承知で(笑)

IWGPシリーズも5作目、安定して面白いです。
今回は全体を通してこの作品の面白みの一端である「疾走感」が若干薄かった気もしますが、波が高い時や低い時があっても平均して標準レベルより充分に面白い物が書けるのが石田さんの強みだと思います。
人の死や不幸をわりあいフランクに作品に登場させている印象はありますが、同じ主題でも重い味わいはLAST辺りを読めばいいし、このシリーズに関してはこのぐらいの温度が丁度良いです。(ヌルいって意味ではなくて、良い塩梅)

主題にもなっている反自殺クラブは、話の流れもオチも東京バビロンの中の1ストーリーを思い出しました。

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2007年7月19日 (木)

1ポンドの悲しみ

1ポンドの悲しみ 出版社/著者からの内容紹介
30代女性の恋模様を描いた、優しい短編集
本好きの人にしか恋ができないOL、夫以外の男性にときめく妻、いつ同棲が終わってもいいように準備をしているカップル。女性の切ない恋愛模様を描いた傑作短編集。(解説/藤田香織)

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確かにちょっとビックリするほど優しい恋愛模様でした。
前回の恋愛短編集スローグッドバイも相当優しかったですが、今回は登場人物達の年齢層が上がったせいか前回に輪をかけて優しかったです。(何この感想…)
僕は普段恋愛物は本当に読まないので、石田さんの作品ぐらいでしか恋愛作品に触れる機会はないけれど、これだけ解りやすく恋愛音痴にも「ああこれが恋をしているときのドキドキの醍醐味なんだ」と理解できる書き方で、しかも全作かなりお洒落に書いてもらえるとたまにこの辺のジャンルを読むのも認識が変わって良いものだな、と思いました。

石田さんは色々な所で“本を読まない人が読む作家”と言われていますが、なるほど、これだけ手軽でかつ面白ければ確かに普段本を読まない人でも読みたくなるんじゃないでしょうか。

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